会計を図で表わして、経営改善を考えてみる
更新日:2022年8月25日
わかりにくい会計を図に表わすと、イメージしやすくなります。
そこで、損益計算書を図で表わしたあとに、これをどう経営改善に活かしていくのか、説明します。
まず、例として赤字会社の損益計算書を、図で表わしてみます(図の説明は、前回のBlogを参照してください)
売上100に対して粗利が70、固定費が80なので、10赤字になっています。
さらに、この売上と変動費は、以下のような単価と販売数量で構成されているとします。
では、この図から思いつく、赤字10を埋める対策を考えてみると、以下のようになるでしょう。
売上を上げるために、販売数量を上げて粗利を増やす
販売数量は上げずに変動費率を下げて粗利を増やす
販売単価を上げて、粗利を増やす
固定費を下げる
ただ、この時に経営者としては、どこから手をつけた方がいいのか迷うと思います。
そんな時に利用できる指標が、利益感度という考えかたです。
利益感度とは、現在の基礎となる実績数字から、目標とする数字まで何%くらい乖離しているかという計算をして、その容易さを%の数字の大小で見える化しようとする考え方です。
以下、計算と使い方を説明していきますね。
利益感度
赤字10をゼロにするためには、各赤字対策でどのくらいの数字が必要となるでしょうか
1.売上を上げるために、販売数量を上げて粗利を増やす場合、
粗利単価は7ですから、10稼ぐには10÷7≒1.43となり、43%増の量を売らないといけません。この場合は、利益感度は43%です。
2.次に、販売数量は上げずに変動費率を下げて粗利を増やす場合、
変動費単価は3で数量が10ですから、変動費単価を1減らせば10稼ぐ事ができます。
そこで、2÷3≒0.67となり、33%変動費単価を下げ無ければなりません。
利益感度は33%となります。
3.今度は販売単価を上げて、粗利を増やす場合、
販売単価10で数量が10ですから、10稼ごうと思ったら販売単価を1上げればいいわけです。
そうすると、11÷10=1.1となり、10%増の値上げとなります。
この場合の利益感度は10%となります。
4.最後に固定費を下げる場合、
固定費が80ですから、固定費を10下げて70にしなければなりません。
そうすると70÷80≒0.88となり、12%固定費を引き下げなければなりません。
利益感度は12%となります。
利益感度を並べて比較する
では、上記の結果を小さい順に並べて比較してみましょう
この表の見方は、数字が小さいほど利益感度が高く、大きいほど鈍感というかたちに分析します。
こうやって一度整理すると、どのくらい難易度高いかということを整理できます。
まず、販売数量は現在の43%増加させれば、赤字解消ですが、なかなかハードルが高そうです。
変動費単価を上げるのも3割以上も下げないといけないので、これも難しそうですね。
そうなると、販売単価の値上げと固定費を圧縮するのが、もっとも現実的な案のように感じます。
後は、どうやって単価をあげるのか、固定費にまだ下げられる余地はあるのかという事を考えて行かなければなりません。
まとめ
このように簡単に数字で分析できるほど、経営は楽ではありませんが、問題解決の取っ掛かりとして、まずは計算してみるにはいいと思います。
数字を分析したあとは、これを実現する経営戦略をどう立てるかですね。
ここに、経営者の実力の差が出てきます。
また、会計分析の話で面白いのを思いついたら、書いてみますね。
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